#0 国税庁ホームページを活用しよう

所得税や確定申告に関する事項を調べるためにはいろいろな方法がありますが、まずはネット環境があれば、国税庁ホームページの利用は必須の方法です。
改良を重ねている国税庁ホームページですが、その機能や利用方法を十分にご存じない方もまだまだいらっしゃるようです。
2018年3月にリニューアルされてTOP画面がシンプルな構成になりましたが、一方で知りたい事項についてどこを見たらいいのか分かりにくい、といった声も聞かれます。
このような方のため、以下、主な利用法などを整理して紹介します。
パソコンなどの「お気に入り」に入れてアクセスしてみましょう。

#1 確定申告書作成コーナー

何といっても、パソコン等で確定申告書を作成できる「確定申告書作成コーナー」を真っ先に掲げないといけないでしょう。
確定申告については、近時その内容がますます複雑になっている上に、新しい改正事項がある年分ともなれば、手書きによる申告書の作成はなかなか大変な作業です。
特殊な申告書を除き、大半の申告書を作成することができるため、特に、初めて申告書を作成する方や不慣れな方にとっては、手書き作成よりも各段容易に申告書を作成することができます。

 

手計算が不要
収入金額や支払金額などを入力すれば、自動的に所得金額や所得控除額が表示され、最終的に税額まで計算ができる仕組みになっており、ほとんど個別計算の必要がありません。
入力する金額さえ間違わなければ容易に計算が済み、誤りも起こりにくいと言えます。

 

電子申告(e-tax)による送信が可能
書面で申告書を提出することに代えて、電子申告を利用して申告内容を送信することにより、提出のために税務署に出向いたり、郵送する手間を省くことができます。
平成31年から新たに「IDパスワード方式」が採用されたことから、事前に税務署に申請すれば、個人番号カードがなくても容易に送信できる環境が整いました。

 

電子申告(e-tax)を利用せず、書面出力も可能
電子申告でなく、従来の書面形式で提出したいと考える方も多くいらっしゃいます。
一部で「確定申告書作成コーナーで作成した申告書は、すべて電子申告で申告することになる。」という誤解があるようですが、そんなことはありません。
書面で申告書を作成したい方は、初期画面で「印刷して提出」を選択して申告書を作成し、最後にプリンターでA4用紙に印刷すれば、それをそのまま申告書として使用することができますので、後は必要な書類を添付して税務署に持参又は郵送すればOKです。
電子申告を利用する方でも、まず書面で試算して内容を検討するような利用方法にも使えます。

 

図、プルダウンメニューや説明リンクもふんだんに用意されていますので、初めて確定申告書を作成する方や不慣れな方でも、できるだけ作成が容易にできるよう工夫がこらされています。

#2 タックスアンサー(よくある税の質問)

よくある税の質問に対する一般的な回答をまとめたものが「タックスアンサー」です。
ある項目について、主な内容を知りたいときには「タックスアンサー」が便利です。
「タックスアンサー」はTOPページの分野別メニュー(税について調べる)にリンクが貼られています。
検索方法には以下の3つの方法があります。

 

キーワードによるカスタム検索
知りたい項目(たとえば「医療費控除」などの用語)を入力して内容を調べることができます。

 

タックスアンサーコードによる検索
タックスアンサーでは「タックスアンサーコード」により各項目が整理されています。
「タックスアンサーコード一覧」から知りたい項目を探します。

 

科目別による検索
「所得税」から順次知りたい項目を辿っていきます。

 

より広範囲な内容を知りたいときは、次項の「カスタム検索」を利用して調べます。

#3 カスタム検索

TOPページの右上にある検索ボックスが「カスタム検索」です。
#2の「タックスアンサー」のキーワードによるカスタム検索では、タックスアンサーコードの付いた事項が優先して表示されるようです。
「タックスアンサー」で調べた内容を更に深堀りしたいような場合には、「カスタム検索」を使ってより広範囲に関連事項を探します。

#4 改正事項のチェック法

所得税の計算を複雑にしている要因の一つが、税制改正によって新たな項目ができたり、計算方法などが変更されることです。
ある年度にどのような改正事項があるかについては、検索機能を使って項目ごとに個別に調べていくことも可能ですが、たとえば、平成30年度の改正(コラム参照)のように、給与や公的年金等といった複数の所得区分に渡るものであったり、基礎控除額が変更されることによりその他の人的控除の所得金額要件も連動して変更になるような場合には、そのすべての改正事項をまとめて確認しないと正確な理解ができません。
このようなときに役立つ資料として、国税庁ホームページに掲載されている「所得税の改正のあらまし」があります。
「所得税の改正のあらまし」は、毎年の法令改正が行われた後(4〜6月ころ)にリリースされるその年度の所得税関係の主な改正事項をまとめたパンフレット形式の資料です。
このあらましで同じ年度に決まった主な改正事項を一覧することにより、相互に関連する改正事項の有無を知ることができます。

 

また、同じ年度の税制改正であっても、改正事項によっては適用の開始される年分が異なる場合があります。
あらましでは、「○○年度の改正事項のうち、○○年分の所得税から適用される主なもの」という表現で整理されていますので、「適用の開始される年分はいつからなのか?」という点に注意して参照してください。
所得税の改正のあらましは、#3のカスタム検索などで探すことができます。

 

(注)
文中の「年度」とは、4月から翌年3月までの期間をいい、「年分」とは1月から12月までの期間をいいます。
所得税の計算は、暦年単位(1月から12月までの期間)で行うことになっていますので、確定申告は「○○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告」という表記になります。

#5 追加情報のチェック

新しい改正事項があった場合で、補足的なQ&AやFAQなどが後でリリースされることがあります。
当初のリリース情報や法令などを見ただけでは内容を理解しがたい場合は多々あり、上記のような補足情報は非常に有効です。
TOPページの新着情報「トピックス」などに表示されますが、#3のカスタム検索でも探してみましょう。

#6 その他の利用について

上記以外にも次のような利用ができます。

 

申告手続や届出に必要な書式や手引き・説明書などをダウンロードして印刷することができます。

 

法令、解釈通達や質疑事例などを参照することができます。

 

各種納税手続の方法や延滞税の計算など納付に関する事項を調べることができます。

 

国税局・税務署の所在地や管轄区域などを調べることができます。

#7 国税不服審判所ホームページ

国税庁ホームページには、国税不服審判所ホームページのリンクが貼られています。
国税不服審判所は、国税の賦課・徴収を行う国税局・税務署からは分離された別個に設置されている国税庁の特別の機関です。
(国税不服審判所の詳細については、審判所ホームページを参照してください。)
納税者は、税務署長等が行った国税に関する課税処分に不服があるときは国税不服審判所に審査請求を行うことができ、審判所は審査請求に対する審理を行って課税処分の適否を判断する裁決を行いますが、国税不服審判所ホームページでは過去の裁決事例がデータベース化されており、検索システムなどによりその内容を参照することができます。
一般的な利用とは異なり、少し高度な活用になりますが、課税処分の適否の検討に一定の参考となります。