本題の前に

管理人は、難しいものだと思われがちな所得税について広く理解してもらう入口として、このサイトを作りました。
その理由をまとめると、以下のようになります。

 

就労の流動性が高まる社会へ
現在の日本では、長く慣行とされてきた「終身雇用制度」や「年功序列制度」が徐々に揺らぎ、非正規雇用等の雇用形態が拡大しています。
また、いわゆる「働き方改革」や「一億総活躍社会」などの政府が掲げる方針によって就業形態にも大きな変化の兆しが見られます。
最近では、定年退職の年齢を延長する企業や大企業の中にも社員の副業・兼業を容認する検討を行っている企業が現れるほか、人材不足の解消を背景とした企業とフリーランス間の契約増加など、新聞を開けばこれらの記事を見ない日はない、と言っても過言ではない状況です。
これに加え、ICTをプラットフォームとした新しいビジネスのすそ野が広がり、個人が容易に参画できる環境も整ってきました。
この流れは、もう止まりそうもありません。
そうすると、必然的に次のような人が増加することになります。

 

  複数の会社から給与や報酬の支払を受ける人
  年金を受給しながら再雇用制度などにより給与などの支払を受ける人
  雇用契約による給与に代えて、フリーランスに近い請負契約等による報酬を受ける人
  勤め先は一か所だが、他に副業・兼業の収入がある人
  ICTを活用して起業する人

 

これらの人の大半は確定申告を要する人となり、年金受給者の存在等もふまえると今後も確定申告が必要な個人はますます増加することになります。

 

予期せぬ課税リスクの回避
管理人の経験上、所得税の賦課の現状を見ると、いわゆる「脱税」と言われる意図的な税金逃れは別として、所得税の仕組み自体の不知・誤解が原因で無申告や過少申告となっているケースが少なくありません。
税務署からのお尋ね文書などによる行政指導の段階で自主的な申告の見直しに応じる場合はともかく、たとえば確定申告を怠っていて、無申告に対する調査を受けた場合だと、納税者には、期限後申告を提出することによる本来納めるべき所得税はもちろん、ペナルティーとしてその所得税に対して最低15%の割合の無申告加算税や延滞税などの付帯税が賦課されることになっており、単に「知らなかった」では済まされない思わぬ大きな税負担が生じます(コラム「無申告加算税について」参照)。
申告納税制度の趣旨に則り、納税者自身の責任を果たすという意味においても、このようなことが少なくなる環境を実現するため、あらゆる機会を通じて所得税についての認識を高めていく必要があります。